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2010年1月22日金曜日

バルバラ異界


著明な方の訃報とともに、お別れに訪れる人の列が報道されます。
連れ合いは、桂吉朝さんのお別れの会に
尼崎まで行ったことがあります。
ご本人には大変縁起の悪い話ですが
私がお別れに行かなければ、と思える人がいるかな~と考えて
思い浮かんだのは、マンガ家の萩尾望都さんでした。

初めて読んだのが『11人いる!』を連載されていた頃で
並行して『ポーの一族』や『トーマの心臓』を買いあさっては読みました。
今、本屋さんに行くと、コミックの量の多さにびっくりしてしまいますが
当時は種類も数も少なく、ましてや田舎の本屋さんの品揃えは薄く
取り寄せをお願いしても再版を待つしかなく、
いつになるのか全くわからないという有様。
毎週日曜日に本屋さんに行っては、がっかりして帰る日々でした。

その後、マンガは信じられないほど世間に認知されるようになって
純文学のように作者の全集が編まれるようになり
私も萩尾望都さんの全集を買い、デビュー作から読むことができました。
その後、発表された時期とのギャップはあるものの
主な作品はだいたい読んでいると思います。

『バルバラ異界』は、一番最近に読んだ作品ですが
今まで感じたことのない違和感というのか、
望都さんに、どんな心境の変化があったんだろう・・・と思いました。

今まで、望都さんはSF、ファンタジー、バレエ、コメディ、その他
どんな分野に入れたらいいのかわからないさまざまなマンガを描いてこられました。
分野とかはどうでもよくて、それがすべて萩尾望都の世界であると同時に
ひとつひとつの作品が他の作品を連想させるようなことはあまりなく
それぞれが閉じた世界で完結していた気がするのです。

『11月のギムナジウム』と『トーマの心臓』がパラレルワールド的だとか
『精霊狩り』にオスカーがゲストで出てくる、
『とっても幸せモトちゃん』にSDエドガーが出てくるというような
自己パロディ的パターンはありましたが。

『バルバラ異界』には、ジャンプするとふわりと浮いてしまうような
身の軽い人間が出てきます。
これは『精霊狩り』の主人公ダーナや、その仲間の精霊を
即座に連想させられるのですが
ダーナや精霊たちが何故身が軽いのかわからなかったのに対して
バルバラ人は、その理由がはっきりとわかっているのです。

なんと、バルバラ人は身体に「うきぶくろ」という臓器を持っているのです!

他にも、夢を消してはやり直す、『銀の三角』を彷彿とさせる手法。
そう言えば青羽(アオバ)にはラグトーリンを思わせるところがあります。

火星への殖民や火星人と地球人との戦争という
『スターレッド』を連想させられるエピソード。
火星を語る青羽には、地球にいるセイが火星に恋焦がれている時の
イメージが重なります。

不正な卵の実験を繰り返す科学者は、『マージナル』でも
重要な役割をしていたな・・・などと考え始めると
なにか自分でも重箱の隅をつついている感じがしますが。

とにかく一番驚いたのは「うきぶくろ」。
あの精霊を作者がそんな風に説明する時がこようとは。
説明をしている訳ではないのですが、
昔編みあげた美しいセーターを見てその毛糸が使いたくなって
ほどいて別のセーターを編み直したような感じがするのです。

ライカのご両親のエピソードをチラ見せするお話の終わらせ方といい
今までご自分のイメージを完全にご自分の表現方法で描ききっておられた
望都さんが、なにか不完全燃焼というか・・・違和感。

それとは別に、望都さん、ひょっとしたらお能の『歌占(うたうら)』を
ご存知なのかな?と思いました。
3日間仮死状態にいたため髪がすっかり白髪になってしまった
渡会某(わたらいのなにがし)、って「バルバラ異界」の主人公そのままです。
地獄の曲舞は、夢へ潜水する主人公が装着している機械によって
モニターに映し出される悪夢とも思えます。
また、父親と子供の再会のお話というところも・・・。

お能関係の知り合いで「バルバラ異界」を読んでる人がいたら
一度お話してみたいのですが、思い当たりません。
ひとりで、つらつらと妄想しているだけです。

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